さぁ!マシンやウエアやシューズ、ヘルメットなども揃って準備万端。『初心者ロード講座.003★まずは乗る前点検!』で記述した項目をチェックしたら、早速乗ってみましょう。でもいきなり練習コースにサイクリングに出るのはちょっと危険なので、前回にも書いたように、自宅の庭や自宅マンションの敷地内、または裏道の車や学童の通りの少ない安全で人に迷惑のかからない場所で、できれば一人ではなくロード経験者といっしょにマシンに慣れる訓練をしましょう。『走る』『曲がる』も大事ですが一番重要なのは『止まる』です!
発進時の注意事項
まずは周りの安全を確認!特に後方確認は発進時は最重要項目です。そして基本的に二輪車は、停車時に片足だけを地面につくとしたら左足が原則(左側通行の日本では...)なので、発進時にはまず右足をペダルに固定してから漕ぎ始め惰性で進行している間に左足をペダルに固定します。中には逆でないと出来ないひともいますが、できれば左足でつけるように努力しましょう。自分は右足でしかつけないので集団走行で停車した時や、レースのスタート時には周りと隊列があわなくて少し邪魔者のようです。特に一般道では信号停車時に右側の車のタイヤに足を引かれる可能性もあります。
で、最初は発進時にシューズをペダルに固定するのは、なかなか大変だとと思います。特に新品のクリート(靴のウラのパーツ)とペダルでは精度が良すぎてハマりづらいと思いますが、走っては降りてを繰り返し練習しましょう。特に降りる時の固定解除は特訓しておきましょう!かかとを外側にひねるだけで簡単に解除出来ますが、実際の危険な状況下では焦ってしまい外れずにそのまま落車なんて事があります。『ツール・ド・フランス』などに出場しているトッププロは危険を予知したら、まず適切な方のペダルを外して危険回避の態勢をとっています。これはブレーキングと同様に危険回避の第一歩です。練習の際は前方不注意にならないように!足もとばかりに気がいっていると危険が目前に迫っています!前を見て!
真っ直ぐ走ることが一番難しい!
『乗り降り』に慣れたら少し前に進んでみましょう。乗車姿勢はテレビで見てよく知っているとは思いますが、かなりの前傾姿勢です。ただ普段はブレーキの上の部分に手をのせてリラックスした姿勢で乗りましょう。ハンドルのドロップ部分を持つ時は高速巡航時や追い込んで走る時です。レース中継を見てもわかるように大集団では先頭を引く選手以外は上をもってリラックスしています。そして前を見て走り出しましょう。最初は左のレバーで操作するフロントギアはインナー(内側の小さい歯車)にして、右レバーで操作する後ろのギアはロー側(複数ある歯車のうちの内側の大きいギア)にして練習した方が安全です。軽いギアをチョイスして走った方がペダルの回転数が多くなり、その分いざという時にペダルを外しやすい下死点(ベダルが一番したに下がり、力がほぼ入らない領域)が巡ってくる回数も増えるので何かと安心です。
そしてしっかり自分の進む方向を見て軽くペダルをこいで見ましょう。最初は真っ直ぐ進む事が一番難しいはずでが、進む方向の遠くを見るほど安定して真っ直ぐ進むはずです。簡単に言ってしまえば自転車は基本的に見た方向に進むということです。真っ直ぐ!真っ直ぐ!と意識してしまうと左右にぶれる原因になります。また曲がろう!曲がろう!とするとハンドルを曲げてしまい危険です。曲がる方向に軽く視線をやると自然と体と車体が曲がる方向に傾き、その傾いた方向に物理の法則によって曲がれるのです。トッププロでも30年選手のアマチュアでも手元を見たりしているとフラついています。プロのレースで両手ばなししてウインドブレーカを着たり脱いだりしているシーンを時折見ますが、視線は手元に焦点を合わさずに、進む方向の遠くを見ているはずです。またコーナーでは密集した集団のなかにあってもカーブの出口付近を見据えて曲がって行きます。ツールなどを見る際にはそんな選手の目線にも注視して観戦してみてください。
変速は一番多い作業!
慣れてきたら今度は変速してみましょう。地形のアップダウンや風向きでも使うギア比は様々で、練習走行やレースでも頻繁に行う作業なので早めに慣れておきましょう。
フロントギアはインナー(内側にある40歯前後の小さいサイズのギア)のままで、後ろのギアを外側よりの歯数の少ない小さなギア(場合によっては大きなギアと表現する事もあります。これはサイズではなく大きな力が必要なギア、もしくは大いなる速度で走るためのギアの意味。)に徐々にしていきましょう。そしてまたローギア(内側の大きなサイズのギア)に一段階ずつ戻し、何度かその繰り返しをして変速作業に慣れていきましょう。その際にも前方の安全確認は怠らずに!この段階から手元を見ずに前方を見ながら操作する習慣をつけてしまいましょう!
そして次はその後ろのギアをローギアから1段階か2段階トップギア方向に入れておいて、フロントギアの変速をしてみましょう。フロントギアは大小のギア比の差が大きいので、ペダルの回り方がガクンッ!と極端に重くなったり軽くなったりするので、フラつかないくらいのある程度の速度が必要です。これも先程と同様にギアの上げ下げを繰り返し練習しましょう。
『止まる』ということは意外に難しい。
ここまで練習して気づく事は、『止まる』ことが意外に難しいということではないでしょうか?変速しながらヨロケて、危ない!と、止まろうとしても思うようにブレーキが掛けられず、しかも止まったはいいけどペダルからシューズがなかなか外れずにあわや落車!なんて経験をした人はいませんか?
走り出しの時は止まる事なんて全く考えずに進むので、いざという時の対応が遅れてしまうのです。なので最初からハンドルの下を持つ場合でも、上を持場合でも両手の指先はブレーキレバーに軽くかけておいてください。前方がひらけていて完璧に安全なとき以外は、ブレーキレバーに触れているくらいでいいと思います。交差点やカーブなど、いつ何があっても素早く減速したり停止したりできる習慣をつけておきましょう。
街中で一般の自転車でも止まれずにヨロヨロと歩行者をどかしてすすむ人がいます。一度止まるとまた発進するのが大変なのはわかりますが、人に迷惑をかけないためにも止まるべき状況ではキチンと止まれる技術を身につけておきましょう。もっと言えば止まるべきところで止まる技術とともに、皆の安全のために止まる勇気をも持ちましょう。と、いうことです。
それから停車に際しては後方の安全も確認する必要もあります。急停止の場合後ろの自転車や車輌が追突してくることもあります。しかし急な時は後方確認などしている暇はないので、常日頃から自分が走っているときは、その周りの状況を感覚的にザックリといいので把握しておくことが必要です。慣れてくれば難しいことではありません...。
パンクの修理は必須です!
それから絶対に習得しておかなければならないのは、タイヤのパンク修理です。チューブラータイヤ(タイヤとチューブが一体になっていて、接着剤でリム〈車輪の輪っか〉に固定するタイヤ)を使っている人は、スペアタイヤを携帯してパンクしたらその予備タイヤに入れ替えるのですが、クリンチャータイヤ(別名WOタイヤ。タイヤと空気を入れるチューブが別々で、リムにはめ込むタイプのタイヤ。)を使っている人は、予備のチューブ数本を携帯してチューブそのものを差替えるか、ないしはパンク修理キットを携帯して、パンクしたチューブの穴を捜して、その穴にキットに付随しているパッチ(シール)を貼って塞ぎ、またリムにセットする方法をとります。
いずれもタイヤをリムから外す時と、はめ込む時にタイヤレバーという、小さなスティック状の工具が必要です。また両タイヤとも新品の場合かなり力のいる作業になるので、前もって何度も練習しておくことが肝要ですし、手のひらの皮膚を傷めることもありますので、肌がデリケートな人は軍手をウエストバッグやナップサックに入れておきましょう。
それから絶対に忘れてはならないのは空気入れです!フレーム(自転車の車体)に設置する40センチ程度の大きさの空気入れもありますが、昔の鉄製のフレームには適合しますが、最近のフレームは様々な形状があり車体に取付けるのが難しい場合もあるので携帯用の小さなポンプを背中のポケットに入れておくことをお勧めします。
と、いうことで乗る事に慣れたら次は練習コースで、実際に走行してみましょう。『初心者ロード講座.005』では、より実践的なことについて記述します。