Nゲージの車輌コレクションはあっても、レイアウトに手を出すのは、大変そうだなぁ...。と思っている貴方!小さなスペースでも手軽に、充分楽しいレイアウトが作れます。とにかく始めて見ましょう!
斯く言う私も、面倒くさがり屋で到底レイアウトに手を出すなんて考えた事もなかったのですが、昭和54年(1979年)のある日のこと、ぶらっと寄った近所の模型店『グリーンマックス』で、冷やかし半分に買ったキハ82を毎日眺めていたら、どうしても走らせたくなって、ベッドと机と本棚で目一杯だった六畳一間に、夢と妄想を凝縮したレイアウトを作ってしまいました。
当時はレイアウトの作り方の参考になる本は、月刊誌の『鉄道模型趣味』か、ハードカバーで少々値が張るレイアウトの作り方のHow to本しかなく、中学生の時に所属していた理工部の鉄道模型部門の、先輩方が作ったHOゲージの広大なレイアウトの記憶を辿りつつ、あとはアドリブで作ってみました。
まずは仕事柄使い慣れていたB全判(B1サイズ=1030×728mm)の水張り用のパネルを行きつけの画材店で2枚購入し、近所のホームセンターでたまたまバーゲンセールをしていた檜の角材を数本と、釘と金槌、のこぎりなど基本的な日曜大工道具を購入。
角材でザックリと土台を作って、そのうえにパネルを2枚敷いて、2〜3時間でベースが完成!この状況を解りやすく描写すれば、駅のコンコースなどに貼ってある大きなポスターが、ど〜んと六畳一間の中心に敷いてあって、そのまわりを寝床と作業机が囲む感じです。つまりNゲージのレイアウトが主役の生活ということに相成ってしまいました。
で、こんな広大なスペースが出来ればやはり最初にやってしまう事はただ一つ。「とりあえず何か走らせてみたい!!」と、前日買っておいたフレキシブルレールを輪っか状に数本の犬釘で敷いてパワーパックをつなぎ、モーターカーの『キシ80』をレールに乗せスタート!...これだけで数時間はお腹いっぱい状態!!翌日からは、職場に出勤しても早く帰りたくて仕事が手につかない日々が続いたのでした。
しかしあまりに無計画で、行き当たりばったりで突っ走ったので、左の写真でわかるように、なんとなくレールのカーブの度合いやポイント周辺のレールの曲線がギクシャク!街や道路の造作も『思いつき感』にあふれています。
そもそもこの時は設計図も描かずに、パネルのベニヤ板に直接サインペンで、レールの敷く位置を手書きで記しただけで作業を始めたので、赤いトラス橋で立体交差した2重のエンドレスも作業の途中で思いつくなど、急な工事で勾配も一定ではなく、ブルートレインの『はやぶさ』のフル編成は、補機のEF65-1000番台で重連にしないと登れない始末。しかし失敗を繰り返しながらも、なかなか面白いレイアウトが出来て、自分なりに大満足でした。
考えてみれば、本物の街が出来あがって行くのも、個々の地主さんの思いや、偶然や行き当たりばったりや、そこに再開発や都市整備などの行政の思惑も絡んで、違和感の中に調和があるような情景が多い物ですが、そんなリアルな感じが偶然にも表現できた気がします。
これを読んでやる気になった方!正確な設計図よりも空想と妄想を広げて自由に工夫して作ってみてはいかがでしょうか。細かい手順やコツは追ってゆるゆると記載して行きますのでお楽しみに!