C11の汚しなら、練習気分でお手軽。

DSC06279sssss.jpgいままでにD51や、C62、485系特急電車、EF58と汚し(ウェザリング)の醍醐味をお伝えしてきましたが、今回は練習作としてうってつけの、価格も比較的安価で、小振りな車体の蒸気機関車『C11』の汚しの実例をご紹介します。
手法はいつものように、一番簡単なドライブラシで、1971年(昭和46年)に播但線の姫路駅や、寺前駅、和田山駅で撮影した実車のC11-177を参考にアレンジを加えながら作成してみました。

w03_C11_003sssss.jpgw03_C11tanku_sssss.jpg今回の汚しも以前紹介したD51と同様に、蒸気機関車時代の末期で、ディーゼル機関車に置き換え寸前の汚れきった状態を表現しました。艶消しのラッカーを混ぜたダークグレーを全体にドライブラシした後、メンテナンス時に手の届かないところは随所に錆色を入れ、メリハリを出して実車よりもかなり派手目に仕上げました。

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ボイラー上部やキャビンの屋根などは均一に煤が付着していますが、石炭庫と左右の水タンクのあたりは、それぞれの補給の際に日常的に汚れが付きやすい場所なので、それなりに錆や油汚れや傷などを誇張しました。特に左右のタンクは平面で構成された箱なので、円筒形のボイラーに比べてトーンが単調になり無表情なので、思いっきり汚しても良いとおもいます。
また車輪やロッドなど足回りの可動部分や回転部分には、こま目に潤滑油を注油しメンテナンスしているので、ここは多少の汚れをドライブラシした後に、クリアラッカー(光沢仕上げラッカー)を細筆で塗って仕上げました。
足回りを油っぽくすると、現役感が表現できます。逆にこの部分を艶消し仕上げにして引き込み線の隅に放置すると、解体待ちの哀愁あふれる廃車感が表現できます。

車体が小さく表面積も少ないC11は、汚しの練習作としてはもってこいです。是非お試しを...。

※【ドライブラシ】=汚れに見合った色のラッカーを調合し、ラッカー溶剤で少し柔らかめにして筆に含ませてからタオルで拭き取り、筆先をドライな感じにさせて、プラ板などに試し塗りしてタッチを整えてから車体のプラスチックを溶かさないよう手早く汚す技法。

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ウェザリング第5弾、国鉄の花形機関車EF58。

DSC06209ss.jpgこれまで蒸気機関車や交直両用電車などディテールが複雑で、汚し甲斐がある車種を紹介しましたが、今回はシンプルな直流機関車の中でも多少ディテールが複雑でしかも劣化が激しい旧型機関のEF58のウェザリング(汚し)をご紹介します。

ウェザリングの手法は例によってドライブラシで、筆に含ませたラッカーをタオルで軽く拭き取ってから、その筆先を車体に垂直に叩くようにして、色を塗ってゆく方法で行いました。

DSC06231sss.jpg使用した『KATO』のEF58は、新車時の実車よりもかなり濃いめの色で仕上げてあり、イメージのギャップが大きく実在感があまりないため、本来なら明るめのブルーで全塗装したいところですが、手間がかかりすぎるため、その作業は省き、替わりに要所要所に無色の艶消しラッカーをドライブラシすることで塗装の劣化を簡易的に表現することにしました。

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お召し列車に使用された焦茶のボディーカラーの61号機を除き、全172両製造された実車の多くは、かなり酷使されボディーの劣化や足回りの錆が激しいので、ボディー側面は雨ざらし感を表現すべく艶消しラッカーを縦方向に、屋根や足回りは古い車輌なので明るめの錆色で劣化が他の車輌よりも目立つようにドライブラシしました。

また現役感を出すために前面の顔の部分、とくにクロームメッキの飾り帯は、実際には汚れているのですが、あえてあまり汚さずに仕上げたり、足回りも日頃注油などでメンテナンスする箇所は元の濃い色を残しつつドライブラシするのも実在感を出すコツのひとつです。

あと忘れてならないのは、意外と目立つパンタグラフの塗装です。ザックリと錆色をドライブラシした後に、拾電シューの両端に昇降確認用の蛍光塗料(ライトグリーン)や、骨組みの関節可動部グリスカバーの赤いラッカーを筆の先で、ザックリと塗るだけで、まるで工場でメンテナンスしたばかりの様な趣になります。また、車体側面の窓の内側に車内の色を塗布するとより実在感がまします。この車内色は、車体を外して窓ガラス(プラスチック)の内側に塗っても良いのですが、実際にはガラス窓の内側には通路があり、その奥の機械室の壁の色なので、少しでも距離感が出るように中の鉛のウエイト部分にザックリと塗ってあります。

今となっては実車は全て廃車になってしまったので、埼玉県の大宮にある『鉄道博物館』などで展示車輌を見るしかありませんが、ピカピカに整備されていて全く参考にはなりません。実際にウェザリングをする際は雑誌やweb上の写真を参考にしてください。

このEF58は1940年代に生産されたデッキ付で箱形車体の初期形と1950年代に生産された湘南電車似の流線型の顔を持つ再生産形があったり、またのちに初期形のデッキを廃止して車体を流線型形に乗せ換えたものや、1956年の東海道本線が全線電化した時代に薄緑色に塗装され特急『つばめ』や『はと』を牽引したりと配属地域での細かな仕様の差があったり、使用状況で汚れや劣化も違ったりと172両全てで表情の違いが顕著です。お気に入りの1台を見つけて、その汚れをNゲージ車輌に描いてみましょう!

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Nゲージの蒸気機関車の汚れは、少々派手に!

w03k-s-d51cab01.jpg先日、Nゲージの気動車での屋根の『汚し』を手始めに床下機器や車体のウェザリングについてご紹介しましたが、今回は汚れの王様、蒸気機関車のリアルなウェザリングについてのお話です。

蒸気機関車は気動車と違い、実車を見ることがなかなか困難で、胴体保存車やイベント列車にしても奇麗に洗車してあるのでなかなか良いお手本にはなりません。...なので雑誌に頻繁に掲載されているC62の2号機、別名『スワローエンゼル』を例にとってご紹介します。

w03k-m-sl3.jpgDSC06149ss.jpgDSC06045ss.jpg上左の写真はいずれも『KATO』のC62、C57、D51ですが、通常の汚れのC62とお召し列車にも使用されたこともあるC57−1の山口号、それと激汚れのD51を比較してみました。
今回もウェザリングの方法は先日、気動車の汚しで紹介した筆とラッカーのドライブラシです。

C57-1は最初から実車に近い細部までの塗装が施されていて、一見何もしなくてもリアルに感じますが、本当は要所々々をテカリの出るクリアラッカーで逆汚し(御粧し)をした方がよりリアルですし、足回りには軽く錆などのウェザリングをすると存在感を強調できます。
Nゲージは我々の日常的なスケール感覚でいくとかなり小さいので、多くの場合通常の汚れでも写真で見る実車よりもややオーバーめに表現した方がらしく見えます。

このC62-2はそのいい例で、実車の汚れには準じているものの、その約3割増し程度に強調しています。まずやや濃いグレーのラッカーを筆に含ませ、筆をタオルでしっかり拭き取ったうえで、車体全体を筆を垂直に立てるようにドライブラシでファンデーションのように下地を塗ってから、実車の写真を見て焦茶や薄茶で、錆や汚れをこれもドライブラシをして、最後に通常の塗りで、手すりなどの白い部分やロッドの赤いラインを細い筆で仕上げます。また銅製や真鍮製の部品もそれなりの色で塗ると良いアクセントになりますし、実際には重要な部品は毎日点検して、その度に油を注したり、布で拭いている場合もあるので、そこはクリアラッカーをサッと塗ってみると、ドキドキするような自己満足に浸れます。
DSC06029ss.jpg多少失敗しても、上塗りでいくらでも修正が利きますし、元々汚れなので何でもありです!しかも通常の距離で見てどれだけリアルかの世界なので、大胆にやったほうが効果は大きいと思います。
だだし中程の写真のD51のように激汚れにするのはかなり勇気がいるので、ある程度自身がついてからやることをお勧めします。また汚しは楽しいので度が過ぎることもあるのでご注意を...。

DSC05948ss.jpgDSC06039ss.jpgDSC05967ss.jpgDSC05991ss.jpgウェザリングの神髄は単なる汚れの表現ではなく、存在感と立体感を引き出すものです。スッピンの車輌と比べても愛着も湧きますし、楽しさも倍増します。またテールランプや連結器の解放テコ、運転席乗降用のハシゴなどの目立つパーツも接着剤で取付ければ完璧です。
そして出来ればマニアの心理としては、スッピンの車輌をもう一輛購入して並べて飾りたいものです。ウェザリングで、より深いNゲージワールドを楽しみましょう!

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