ゆるーく嗜む鉄道模型

ウェザリング第5弾、国鉄の花形機関車EF58。

DSC06209ss.jpgこれまで蒸気機関車や交直両用電車などディテールが複雑で、汚し甲斐がある車種を紹介しましたが、今回はシンプルな直流機関車の中でも多少ディテールが複雑でしかも劣化が激しい旧型機関のEF58のウェザリング(汚し)をご紹介します。

ウェザリングの手法は例によってドライブラシで、筆に含ませたラッカーをタオルで軽く拭き取ってから、その筆先を車体に垂直に叩くようにして、色を塗ってゆく方法で行いました。

DSC06231sss.jpg使用した『KATO』のEF58は、新車時の実車よりもかなり濃いめの色で仕上げてあり、イメージのギャップが大きく実在感があまりないため、本来なら明るめのブルーで全塗装したいところですが、手間がかかりすぎるため、その作業は省き、替わりに要所要所に無色の艶消しラッカーをドライブラシすることで塗装の劣化を簡易的に表現することにしました。

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お召し列車に使用された焦茶のボディーカラーの61号機を除き、全172両製造された実車の多くは、かなり酷使されボディーの劣化や足回りの錆が激しいので、ボディー側面は雨ざらし感を表現すべく艶消しラッカーを縦方向に、屋根や足回りは古い車輌なので明るめの錆色で劣化が他の車輌よりも目立つようにドライブラシしました。

また現役感を出すために前面の顔の部分、とくにクロームメッキの飾り帯は、実際には汚れているのですが、あえてあまり汚さずに仕上げたり、足回りも日頃注油などでメンテナンスする箇所は元の濃い色を残しつつドライブラシするのも実在感を出すコツのひとつです。

あと忘れてならないのは、意外と目立つパンタグラフの塗装です。ザックリと錆色をドライブラシした後に、拾電シューの両端に昇降確認用の蛍光塗料(ライトグリーン)や、骨組みの関節可動部グリスカバーの赤いラッカーを筆の先で、ザックリと塗るだけで、まるで工場でメンテナンスしたばかりの様な趣になります。また、車体側面の窓の内側に車内の色を塗布するとより実在感がまします。この車内色は、車体を外して窓ガラス(プラスチック)の内側に塗っても良いのですが、実際にはガラス窓の内側には通路があり、その奥の機械室の壁の色なので、少しでも距離感が出るように中の鉛のウエイト部分にザックリと塗ってあります。

今となっては実車は全て廃車になってしまったので、埼玉県の大宮にある『鉄道博物館』などで展示車輌を見るしかありませんが、ピカピカに整備されていて全く参考にはなりません。実際にウェザリングをする際は雑誌やweb上の写真を参考にしてください。

このEF58は1940年代に生産されたデッキ付で箱形車体の初期形と1950年代に生産された湘南電車似の流線型の顔を持つ再生産形があったり、またのちに初期形のデッキを廃止して車体を流線型形に乗せ換えたものや、1956年の東海道本線が全線電化した時代に薄緑色に塗装され特急『つばめ』や『はと』を牽引したりと配属地域での細かな仕様の差があったり、使用状況で汚れや劣化も違ったりと172両全てで表情の違いが顕著です。お気に入りの1台を見つけて、その汚れをNゲージ車輌に描いてみましょう!

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