全国で活躍したキハ58は、汚れ方も様々。

DSC06340sssss.jpg今まで蒸気機関車や交流電車など、丹念に汚れを施した『ウェザリング』をご紹介してきましたが、今回はサラッと仕上げたキハ58を取り上げます。

キハ58は日本全国で活躍したディーゼル気動車で、その車種や仕様は無数にあり、北海道用の耐寒耐雪型『キハ56系』や、信越本線用の台車に空気バネを採用した『キハ57系』、はたまた温暖な九州を中心とした標準型の『キハ58系』があり、それらを総称するところのキハ58系は1,800両を超える超量産車で、ディーゼル気動車としては日本国有鉄道最多を誇るほどで、そうなると各地域の気候風土や使用頻度でヤレかたや汚れも様々なのです。

しかし今回はその質実剛健でシンプルな車体の特徴を生かすようサラッと仕上げたウェザリングにして、主なウェザリングは床下の台車と床下機器、それにエンジン中心に施しました。

DSC06355sssss.jpgDSC06348sssss.jpg車体の汚れは運転席の屋根の部分と、屋根の上に並ぶクラーの室外機のカバーのエッジだけに抑えて、あとはほぼ購入時のままとしました。そして今回のウェザリングの中心の一つ床下機器ですが、キハ58は基本的に床下機器の色はライトグレーの塗装なので、ザックリとグレーを筆で『ドライブラシ』をして(トミックス製は最初からグレーです。)、その上から赤茶の艶消しの錆色を適度にドライブラシをして仕上げました。
また、台車は赤茶の艶消しをドライブラシした上に赤茶の『艶有り』を可動部やコイルバネの両端など、油っぽいところに適宜 塗布してみました。そしてアクセントとして、ディーゼルエンジン部分に銀色をザックリ塗って仕上げました。
こうすることで、購入時よりもメリハリがついて立体感と存在感のある車輌になりました。
DSC06337sssss.jpgnishikagoshima_005sssss.jpgしかし実車では、かなり車体の塗装色に色褪せが見られます。こればかりは実際に車体を毎日日向に干して退色させるしかないようですが、それも現実的ではないので、ある程度は目を瞑って、「これは製造当時の新車だ!」と、割り切ってこの程度で止めておきました。
このように、汚しの難しい車体部分をいじらなくても、屋根と床下を汚すだけで、実に簡単にリアリティーのあるNゲージ車輌が完成します。皆さんもトライしてみてください。

Nゲージの『キハ58』のお取り寄せは
【ヤフーショッピング】
【Amazon】 【楽天市場】

ウェザリング、まずは手軽な気動車の屋根から。

w03k-s-kiha82roof05.jpgお気に入りの車輌を購入して眺めていると、なにかこう模型はやっぱり模型だなぁと、感じた事はありませんか?
それは実車と違い汚れが無くピッカピカだからです!いくら洗車機にかけていても実際に運行している列車は、土誇りや鉄粉、錆、塗装の退色などかなりヤレています。
模型の場合、走らせるにせよ、飾るにせよ普段あまり目にしない屋根の部分を主に見てしまうので、この部分だけでも少し汚してみるとかなりのリアリティーが出て来ます。

しかも屋根はデリケートな車体側面や全面に比べて、実車もダイナミックに汚れていて、多少のムラや失敗はリカバリーが簡単なのもメリットです。練習作としてお勧めなのは気動車の屋根で、元々汚れにかなりのムラがあり、使用頻度によって汚れ具合いも様々。実際の汚れのメカニズムを解ってしまえば、あとはどうにでも表現ができます。

w03k-s-kiha82roof03.jpgw03k-s-kiha82roof02.jpgw03k-s-kiha82engine.jpgw03k-s-kishi80.jpgとりあえず雑誌やDVDなどで実車はどのような汚れ方をしているか、頭の中にイメージを記憶させておいて、あとはそれなりの色のラッカーを調合するか、焦げ茶や黒を、ラッカー溶剤で少し柔らかめにして筆に含ませてからタオルで軽く拭き取り、筆先をややドライな感じにさせて、要らなくなったプラ板などに軽く塗ってみて色やタッチを確認してみましょう。やってみると筆先が乾きかけの状態が、一番いいタッチになるのがわかります。コレはイラストなどで用いられる画法のドライブラシと同じ方法で、車輌の汚しには結構使える技です。この技法で屋根の表面に汚しを塗ってみると、なんとリアルなことか!


DSC06339.jpgDSC06354.jpgコツとしては、写真などを見ながらやるのではなく、飽くまでもイメージでやることです。模写するようにやるとかえって緻密すぎてリアリティーが無くなります。1/150の世界ですから、人間の通常のスケール感からいって細かい描写は、ほぼ感じ取れないので、慣れてきたら絵画と同様に大胆に筆を走らせた方がより効果があります。そしてそのとき忘れてならないのは、車輌は走行時常に前方か後方から風を受けています。排気口などの汚れはその辺りにも気を使うとよりリアルです。錆などは雨水の捌けの悪い部分に発生しやすいので、実車を見て研究するのも楽しい時間です。
DSC06662.jpgDSC06501.jpgそれともう一つ忘れてならないのは電車と気動車の違いです。電車は常に架線の下を走っていてパンタグラフが削る銅の粉が付着しますが、気動車は主に排気口から出る煤とそれに付着する油などです。その材質の違いも表現してみましょう。

また筆も使い分けた方が良いでしょう。やっていくうちに独自の使い分けをすれば良いのですが、平筆は広い面積全体を均一に汚したい時、また丸筆は先を平にカットして(専用の筆も有り)垂直にトントンと叩くように使い、限られた部分を汚す時に使います。どちらも用途に応じて筆の大きさや太さを何本か揃えておいて使い分けた方が良いと思いますが、慣れてくるとどんな場所も、お気に入りの筆1本でコナセてしまいます。ちなみにタオルやスポンジの部分や綿棒を使うこともできます。そのあたりは自分のやり方を編み出すのも楽しみ方の一つです。
このウェザリングはレイアウトでの走行には勿論、車輌のコレクションだけの人にもお勧めです。
コレクター心理としてはこのウェザリングを施した編成と、もうひと編成スッピンの編成をコレクションしておくと最高ですが......。ウェザリング、コレはハマりますよ!
慣れてきたら上の写真のように床下機器や車体側面の換気口などにもトライしてみましょう!
車種別のウェザリングについては、また追ってご紹介します。

こどもの頃からのあこがれの車輌、キハ82から始まったNゲージの世界。

w03-m-kiha82-05525.jpg鉄道は小さい頃から何となく好きだったけれど、鉄道模型には今までの人生で縁がなかったという貴方!
とりあえず一度、模型屋さんで、気になっていた車輌を一輌購入してみては?
夢と妄想がそこから広がって新しい趣味がひとつ増えますよ!
斯く言う私も、ぶらっと寄った模型店で手頃な価格だったので何気なく一車輌買ってみてNゲージの虜になった一人です。

私が生まれた昭和30年代は、まだまだブリキのおもちゃが主流で、特に印象的なのは電車と飛行機がゼンマイ仕掛けでグルグル回る『電車まわり』なる独特の世界観を持つおもちゃで、鉄道模型のレイアウトの凝縮版のようなもので、当時の男子のほとんどはそれに夢中になっていました。
そしてその後プラレールも発売され、『夢の超特急(東海道新幹線)ブーム』もあって人気急上昇。

でもそんな時代の中、自分としては京浜急行の鶴見市場駅前の『はやぶさ模型』のショーウインドーの中に飾ってあるリアルなHOゲージの湘南電車のことが、前を通る度に気になっていました。しかし高額商品のため、おねだり出来るシロモのではなく夢のまた夢の存在でした。

そして中学生の時に『カツミ模型』の入門セットがあることを知り早速購入。そのセット内容はEF60をデフォルメして短くしたような架空の電気機関車と何をデフォルメしたか解らないけれど、まだデビューする前の14系客車の図面からイメージして作ったような客車が2輌。カーブレールも4本付いていましたが、買い足さないとエンドレスは作れず、予定外の出費をしましたが、いっときかなり楽しめました。

しかし程なくリアリティーのなさに飽きてしまい、やはり実車のスケールモデルが欲しくなり、予算の面で完成車は買えないので、パンタグラフや台車、モーターなどのパーツを『はやぶさ模型店』で購入して何の経験もないのにいきなりボンネット型の485系や、東海道線近郊型電車の113系、急行型気動車キハ58を作製しました。(先日数十年ぶりに見てみると、それはそれは粗末な作りで、見なかったことにしてすぐに押入れの奥へとお蔵入りにしました。あまりにひどくて写真すら撮ってません。)

w03-s-kiha82-05429.jpgその後しばらく鉄道模型から遠ざかっていて、社会人になった昭和54年(1979年)のある日のこと、冒頭で書いたように、当時住んでいた街の近所の模型店にぶらりと入ってビックリ!最近9ミリゲージなるものが流行っているとは雑誌の立ち読みで知ってはいたものの連結器(カプラー)の馬鹿デカさに鼻にも掛けていなかったのですが、展示してあったキハ82系の実車を手に取って見てみると、コレがよく出来ていること!

先頭車の連結器もきちんとスケールモデルになっていたし値段もHO基準で考えれば桁違いに安かったので1輌だけ購入。
しかし当然それだけでは気が済まずに、後日5輌買い足し基本の6両編成を揃え、部屋でしげしげと眺めていると、モーターカーも編成に組み込んであったので、もう走らせたくて走らせたくて、妄想が広がるばかり......。で、専門誌などを買い込みレイアウト制作の基本的な知識を得て製作!もうそこからはNゲージの世界に...。ここからの先のレイアウトやウェザリングのお話はまた次の機会に...。それにしてもキハ82は魅力的な車輌だな〜というお話と、鉄道に興味はあるけれど今一歩踏み込めなかった方への、鉄道模型入門のお勧めのお話でした。

『キハ82』のNゲージやHOゲージ、書籍は
【楽天市場】で購入できます