以前キハ82、C62、D51のウェザリング(風化による汚れ)のお話をしましたが、今回の第4弾は蒸気機関車に並ぶウェザリングの醍醐味、交流や交直両用車輌の屋根です。取り上げたのは国鉄時代の485系で、今回もラッカーの『ドライブラシ』で作成しました。
※【ドライブラシ】=汚れに見合った色のラッカーを調合し、ラッカー溶剤で少し柔らかめにして筆に含ませてからタオルで拭き取り、筆先をドライな感じにさせて、プラ板などに試し塗りしてタッチを整えてから車体のプラスチックを溶かさないよう手早く汚す技法。
この485系の屋根の複雑なディテールも以前からの方法で、1本の筆を駆使して躊躇せずザックリと再現してみました。あまり細かいことにとらわれても、実際の150分の1の縮尺という人間のスケール感から見るとあまりにも小さな世界なので、ほぼ認識出来ないものになってしまいます。手にもって虫眼鏡で鑑賞するのであればそれでも良いのですが、多少オーバー目の方が編成にして走らせた時に実在感があります。なので、ドライブラシがお勧めの技法です。(スーパーリアリズムの絵画も、近くで見ると、油絵絵具の凸凹と筆の跡がざっくり残っています。それと同じでチマチマやるよりも大胆且つ感覚的に...。)
上の写真は2両とも485系のモハ484ですが、写真内上は田沢湖線の特急『たざわ』の焦げ茶色の『屋根布』仕様を再現するためにオリジナルの銀塗装の上に筆でラッカーを平塗りしたのもので、写真内下は『KATO』のオリジナルのままで、実車の485系の新製時の銀色の『塗り屋根』仕様のものです。実車ではどちらも汚れ具合にさほどの差はありませんが、それぞれのベースの色で表現を多少変えています。
ベースが焦が茶の場合は、彩度の高い明るめの色で汚れを目立たせ、ベースが銀色の場合は、元の銀色の美しさが失われないように、渋い色合いであっさり目に仕上げています。(下左の写真の手前にある急行形475系などのグレーの『塗り屋根』の場合も銀色と同様です。)
順序としては車体を分解して屋根を外すか、分解が面倒であれば車体側面にマスキングテープを貼って汚れを防ぐかしてください。そして屋根上のパーツは外せるものは出来るだけ外してから屋根全体にベースの鉄さびの汚れや油汚れをドライブラシして、外したパーツの銅製の電線やそのカバーや碍子、パンタグラフなどを、通常の塗り方でそれぞれの適切な色を塗ってから、ドライブラシで軽く汚れを付けて、元の位置に設置して組み立てます。
ここで肝心なのは実在感です。実車はパーツ毎に汚れてゆく訳ではなく、走行時などに全体的に汚れてゆくので、組み立て後に全体を眺めて実車感に乏しければ、汚れに一体感を出すために、走行中の風の流れを描くようにザッと、ドライブラシで鉄錆色などで着色するといい感じになります。ドライブラシに自信が持ててきた人にはお勧めの効果です。
ちなみに自分はセッカチで面倒くさがりやのため、掲載した写真は、全て分解もマスキングもせずに、ザックリと絵を描く気分でやってみたものです。ほんの少しの絵心と勇気があれば簡単なことです。
いずれにせよ失敗を恐れずにとにかく、やってみましょう!
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