『ナハフ20』と『ナハネフ23』を切り刻んで『ナハネフ22』を密造?!

20IMG_8232sssss.jpg1970年代末、日本のNゲージは黎明期をようやく脱して、積水金属(カトー)から次々と日本の鉄道車両の模型が発売され始めました。しかし実車がその用途に応じて同系列内の車種を増やして行くのには追いつけずに、まだまだ足りない車種も数多くあったのも事実です。
その顕著な例が、カトーから発売された20系寝台車両でした。初期のモデルは実車が登場した1958年(昭和33年)当初の編成の車種で構成されていて、緩急車(おもに先頭もしくは最後尾の車掌室のある車両)は、座席車両の『ナハフ20』と『カニ21』が組込まれており、その後の編成の主流となった寝台車両の『ナハネフ22』は製品化されていませんでした。レイアウト上に毎日のように身近に見ていた寝台急行『銀河』を走らせようと1編成分の車両を購入したのですが、最後尾に違和感のある『ナハフ20』があって、しかもピッカピカの屋根と足回りでは全く実車の趣きが感じられず、後日『ナハフ20』と『ナハネフ23』を1両ずつ購入して、両者を切り刻んで『ナハネフ22』を自作することにしました。

20IMG_8198sssss1800_960.jpg実車の写真を見ながらまずは、『ナハフ20』の乗降扉から車掌室までの部分と客室部分をレール切断用のノコギリで切断して、次に『ナハネフ23』の車掌室から乗降扉部分を切断して、残った寝台客室を最初に切断しておいた『ナハフ20』の丸みを帯びた先頭部分と合体しました。

とりあえず接着剤で固定して、切断面のバリを軽く紙ヤスリで整形して、つなぎ目を自然にするためにパテを塗って、乾いてからまた紙ヤスリで平らにし、削れてしまったブルーの塗装や白帯を、マスキングテープと筆を使い、指定色のラッカーで再塗装しました。

指定色のラッカーを使っても多少色ムラが出来てしまいますが、このあと全車両を『寝台急行・銀河』に仕立てるためにウェザリング(劣化処理)をしたので、ほとんど気にならない状態になりました。しかし早く走らせたくて作業を急いだ結果、接合部分に塗ったパテが完全に固まっていなかったようで、余った斜体で作り上げた切妻形状の『変形ナハフ20』の屋根部分に凹みが出来てしまいました。

DSC08527s.jpg全体のウェザリングは、他の『ウェザリング』の記事に記述してあるように、ザックリと筆でドライブラシを活用して行いました。Nゲージは割と小さいめなので詳細に汚れなどを再現しても、レイアウト上で見た場合に実車感に乏しいので、平筆などでザックリと汚した方が見栄えがします。
窓ガラス周りの『Hゴム』などは、0.2ミリほどの幅になりますが、実際に0.2ミリでライトグレーの帯を敷くとほとんど目立たないので、乗降ドアのガラス窓周りなどは、あえて『カトー』が計算し尽くして少し強調して成形してある太めの縁取り通りに細筆で塗った方がよりリアルです。

そして足回りの台車や床下機器などは、錆色ラッカーに艶消しラッカーを混ぜて平筆でザックリとドライブラシをし、屋根は車体から取り外し、製品色の銀色の上から平筆でグレーに塗って乾いてから、発電車の『カニ21』から排出されるディーゼルの排気ガスの煤(すす)の色、すなわち墨色(ダークグレー及び黒)で、編成上の『カニ21(ディーゼルの排気口)』に近い車両は濃いめに、離れている車輌ほど薄く汚れをドライブラシで付けました。
実際の編成では、時にはところどころにメンテナンス済みの予備車両と差替えて編成している時もあり、突然再塗装されている小綺麗な車両も混じっていたりするので、Nゲージの編成でも屋根の汚れ具合をまばらにすると、実在感が増します。

20IMG_8358sss.jpgあとは、車体のあちこちにある『方向幕』を白色ラッカーで塗り、パソコンからネットで取り込んだヘッドマークの画像をプリントアウトして必要な部分だけをカットし接着剤で貼りました。また窓の内側のブラインドは寝台列車なだけに実車感を醸し出すための重要な要素です。基本的に就寝中の移動を目的とした列車なので運行時はほとんどの窓がブラインドを降ろしているので、ここを処理しない手はありません。
車体を分解して、一体整形の透明の窓ガラス部分をはずして、やや水色がかったラッカーで内側を塗ります。その際に全開のブラインドや、やや開けてあるブラインドを表現するのも実車感を出す上でとても大事です。車体と並べて窓のピッチを確認しながら丁寧に塗る事をお勧めします。

ということで、ザックリとした説明ですが20系の実車感を楽しんでみました。しかし現在はカトーから『ナハネフ22』や、ヘッドマーク(バックサイン)も販売されているようなので、改造する必要もないのですが、ウェザリングは参考になると思います。ぜひ皆さんも実車感にトライしてみてください!

『Nゲージの20系寝台列車』のご購入は
【楽天市場】
【Amazon】
【ヤフーショッピング】

クハ181とサロ181を合体させて、クロ481を密造!?

DSC06561ssss.jpg近年では、Nゲージの車輌の種類も30年前とは比較にならないほど増え、その範囲は、私鉄やイベント列車などの、実車でさえ少量しか生産していないモデルにまで達しています。
しかし日本でようやく関水金属(KATO)のNゲージが、一般に普及し始めた1970年代後半には、60年代の初期に比べれば種類は豊富だったものの、昨今のような塗装を含めた多種多様な、商品ラインアップは予想だに出来ませんでした。と、いうことで上の写真の車輌は30年前に、KATOのクハ181とサハ481を合体させた、手作り感満載ののボンネット形の『クハ481』です。

DSC06564ssssss.jpgDSC06551sss.jpg1958年(昭和33年)東海道本線の特急『こだま』で活躍した20系が翌年には車輌称号の改正で151系になり、その後の派生車種との統合で181系になり、1964年(昭和39年)東海道新幹線0系に『こだま』の称号をバトンタッチした後は車輌数をより増やしつつ、同じ直流電化区間の中央本線の特急『あずさ』や、上越線の特急『とき』で活躍しました。また時を同じくしてその他の地区も簡素な変電施設で電化が出来る交流電化が行われ、特急が次々と気動車から電車に更新すべく誕生した481系が登場し、これも派生車種の483系と統合して485系となり、日本全国に特急網を確立し日本の高度成長の礎となって、多くの国民に旅の思い出を残してきました。

そんな名車なのですが1980年初頭になってもNゲージ車輌としては発売されず、その後やっと発売されたものはボンネット形の初期形ではなく、当時全盛で走っていた分割合弁用に貫通ドアを設置した新設計の200番台の、そのまた貫通ドアを廃止した、より新型の300番台でした。
しかし自分としては、親しみのある北陸本線の特急『はくたか』が是が非でも欲しくて、当時山ほど売っていた181系の先頭車『クハ181』とその新発売485系の『サハ481』を購入し、両者を切り刻み合体させた、485系のボンネット形の先頭車『クハ481』を作ってみました。そしてそれだけでは飽き足らず、ついでに九州地区で活躍していた『クロ481』も、クハ181とサロ481を同じ手法で作り上げました。

まずは中学2年(1970年)の時に、方眼用紙でHOゲージの485系4両編成を作った経験を生かし、その時に使った鉄道雑誌などの資料を引っ張り出して、181系と 458系の類似点と相違点を洗い出し、『KATO』のNゲージのクハ181とサハ481の2輌を無駄なく使い、尚且つパーツが足らないところは諦めて、「それなりに仕上がれば良 し」という『ゆる〜い』前提で密造(制作)を始めました。
最初にそれぞれの車体を外し、それをアルミ製の『カッティングガイドボックス』に設置し、大胆にもレールカッター(ノコギリ)を使い、クハ181の先頭部分と客室を切り放し、サハ481の乗降ドアと反対側の不要な部分も同様にカット!全体を約141.6ミリになるように慎重にセットして、接着部分の内側に補強材となる薄いプラ板を仕込み接着して合体!

DSC06582sss.jpgIMG_5232sssss.jpgDSC06613ssss.jpgDSC06645ss.jpg

しかし問題は、181系と485系の車高の違いで、変電所で交流を直流に変換して電流を流している直流区間専用のの181系に対して、交直両用の485系は、全車変電施設を持参して毎日走っている訳で、自ずとお道具が多くなり、床下機器が満載なので車高が125ミリ高くなっています。しかし181系の車体をそのまま上に上げると運転台の高さが定められた車輌限界の寸法を超えてしまうので、ボンネットと運転台は181系と同じ高さなのです。これが一番厄介なポイントで、ヘッドライトとテールランプがビルトインしているボックスの直下のボディーのアゴの部分を1ミリほど削り取り、不要な部分をカットしたサハ485系の車体の裾に合わせて接着すれば出来上がり...!ではなく、運転台の両肩に段差が!そこで実車の画像をよ〜く見てみると、ほぼ一定の緩やかな曲線でボンネットから屋根に肩のラインが延びているクハ181に対して、クハ481は運転台の側面窓のアタリで曲線が波をうって一段高くなった屋根に繋がっています。

そこでラッカーパテ(溶剤で溶いた粘土のような補修材)を、肩の段差に溶剤が揮発して体積が減ることを考慮して少し多めの山盛りに塗って、乾いてからカッターで大まかに削り、目の細かい紙ヤスリで、実車の写真を見ながら正しい形に成形して、販売されていた国鉄特急色のラッカーにを、このKATOの製品の色調に合うように、多少他の色を調合し何度もプラ板に塗って色合わせをしたラッカーを筆で塗り完成させました。

ザックリと作ったので近くでマジマジと見ると、荒っぽい仕上がりですが、実車でも経年劣化でボディーの鉄板は大きく波をうっていたりするので、鉄道趣味を『ゆる〜く』楽しんでいる自分としては、お気に入り一品です。

ちなみにクハ181とクハ481の違いを整理すると、運転台の高さは同じなのに客室の車高が違うので、3つの大きな差異が生じています。

1)_ヘッドライトボックスから延びる3本のストライプが入った赤い帯と客室窓周りに配した赤い帯の接点にズレが生じ、181では辺と辺で接しているのに対し、481ではカドとカドで接している。
2)_運転台側面窓のボディーの方の部分のカーブが、181の場合ストレートに屋根と繋がっているのに対し、481はより高い屋根に繋ぐために波をうっている。
3)_3本のストライプが入ったヘッドライトボックスと、ボディーしたヘリにある赤い帯との間が狭い。

以上が大まかなさですが、このことによって車高が高く多くの機器を搭載して全体に大柄に見える485系よりも、スッキリしてスマートで小ぢんまり見える181系の方が、正面だけをみれば面長で顔が大きいということになりまが、実際にはその下のスカートの部分の丈が長かったりスノープロウが付いたりして、やはり485系の方が全体的にボリューム感がありように見えます。

以上のような方法で、そのほかにクロ481系ボンネット形も、クハ181とサロ481を合体させて作ってみました。
ところで、切り刻んで余った車体や代車は、とりあえず合体してNゲージのガラクタ箱にあった余りシールの中から『高速軌道試験車』なるシールを見つけ、側面に貼付けて、さも有りそうな車輌に仕立ててヤードの片隅の放置車輌の一員にしてみました。
IMG_5860sss.jpgIMG_5874sss.jpgキットを一から作るよりも簡単な車輌改造で、自分だけのオリジナル車輌を作ってみてはいかがでしょうか。市販されている車種でもよく売切れているので、作ったほうが早い場合もありますし、何よりも愛着の沸き方が違います。

Nゲージの485系のお求めは【Amazon】
Nゲージの485系のお求めは【楽天市場】
Nゲージ485系のパーツのお求めは【楽天市場】