クハ181とサロ181を合体させて、クロ481を密造!?

DSC06561ssss.jpg近年では、Nゲージの車輌の種類も30年前とは比較にならないほど増え、その範囲は、私鉄やイベント列車などの、実車でさえ少量しか生産していないモデルにまで達しています。
しかし日本でようやく関水金属(KATO)のNゲージが、一般に普及し始めた1970年代後半には、60年代の初期に比べれば種類は豊富だったものの、昨今のような塗装を含めた多種多様な、商品ラインアップは予想だに出来ませんでした。と、いうことで上の写真の車輌は30年前に、KATOのクハ181とサハ481を合体させた、手作り感満載ののボンネット形の『クハ481』です。

DSC06564ssssss.jpgDSC06551sss.jpg1958年(昭和33年)東海道本線の特急『こだま』で活躍した20系が翌年には車輌称号の改正で151系になり、その後の派生車種との統合で181系になり、1964年(昭和39年)東海道新幹線0系に『こだま』の称号をバトンタッチした後は車輌数をより増やしつつ、同じ直流電化区間の中央本線の特急『あずさ』や、上越線の特急『とき』で活躍しました。また時を同じくしてその他の地区も簡素な変電施設で電化が出来る交流電化が行われ、特急が次々と気動車から電車に更新すべく誕生した481系が登場し、これも派生車種の483系と統合して485系となり、日本全国に特急網を確立し日本の高度成長の礎となって、多くの国民に旅の思い出を残してきました。

そんな名車なのですが1980年初頭になってもNゲージ車輌としては発売されず、その後やっと発売されたものはボンネット形の初期形ではなく、当時全盛で走っていた分割合弁用に貫通ドアを設置した新設計の200番台の、そのまた貫通ドアを廃止した、より新型の300番台でした。
しかし自分としては、親しみのある北陸本線の特急『はくたか』が是が非でも欲しくて、当時山ほど売っていた181系の先頭車『クハ181』とその新発売485系の『サハ481』を購入し、両者を切り刻み合体させた、485系のボンネット形の先頭車『クハ481』を作ってみました。そしてそれだけでは飽き足らず、ついでに九州地区で活躍していた『クロ481』も、クハ181とサロ481を同じ手法で作り上げました。

まずは中学2年(1970年)の時に、方眼用紙でHOゲージの485系4両編成を作った経験を生かし、その時に使った鉄道雑誌などの資料を引っ張り出して、181系と 458系の類似点と相違点を洗い出し、『KATO』のNゲージのクハ181とサハ481の2輌を無駄なく使い、尚且つパーツが足らないところは諦めて、「それなりに仕上がれば良 し」という『ゆる〜い』前提で密造(制作)を始めました。
最初にそれぞれの車体を外し、それをアルミ製の『カッティングガイドボックス』に設置し、大胆にもレールカッター(ノコギリ)を使い、クハ181の先頭部分と客室を切り放し、サハ481の乗降ドアと反対側の不要な部分も同様にカット!全体を約141.6ミリになるように慎重にセットして、接着部分の内側に補強材となる薄いプラ板を仕込み接着して合体!

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しかし問題は、181系と485系の車高の違いで、変電所で交流を直流に変換して電流を流している直流区間専用のの181系に対して、交直両用の485系は、全車変電施設を持参して毎日走っている訳で、自ずとお道具が多くなり、床下機器が満載なので車高が125ミリ高くなっています。しかし181系の車体をそのまま上に上げると運転台の高さが定められた車輌限界の寸法を超えてしまうので、ボンネットと運転台は181系と同じ高さなのです。これが一番厄介なポイントで、ヘッドライトとテールランプがビルトインしているボックスの直下のボディーのアゴの部分を1ミリほど削り取り、不要な部分をカットしたサハ485系の車体の裾に合わせて接着すれば出来上がり...!ではなく、運転台の両肩に段差が!そこで実車の画像をよ〜く見てみると、ほぼ一定の緩やかな曲線でボンネットから屋根に肩のラインが延びているクハ181に対して、クハ481は運転台の側面窓のアタリで曲線が波をうって一段高くなった屋根に繋がっています。

そこでラッカーパテ(溶剤で溶いた粘土のような補修材)を、肩の段差に溶剤が揮発して体積が減ることを考慮して少し多めの山盛りに塗って、乾いてからカッターで大まかに削り、目の細かい紙ヤスリで、実車の写真を見ながら正しい形に成形して、販売されていた国鉄特急色のラッカーにを、このKATOの製品の色調に合うように、多少他の色を調合し何度もプラ板に塗って色合わせをしたラッカーを筆で塗り完成させました。

ザックリと作ったので近くでマジマジと見ると、荒っぽい仕上がりですが、実車でも経年劣化でボディーの鉄板は大きく波をうっていたりするので、鉄道趣味を『ゆる〜く』楽しんでいる自分としては、お気に入り一品です。

ちなみにクハ181とクハ481の違いを整理すると、運転台の高さは同じなのに客室の車高が違うので、3つの大きな差異が生じています。

1)_ヘッドライトボックスから延びる3本のストライプが入った赤い帯と客室窓周りに配した赤い帯の接点にズレが生じ、181では辺と辺で接しているのに対し、481ではカドとカドで接している。
2)_運転台側面窓のボディーの方の部分のカーブが、181の場合ストレートに屋根と繋がっているのに対し、481はより高い屋根に繋ぐために波をうっている。
3)_3本のストライプが入ったヘッドライトボックスと、ボディーしたヘリにある赤い帯との間が狭い。

以上が大まかなさですが、このことによって車高が高く多くの機器を搭載して全体に大柄に見える485系よりも、スッキリしてスマートで小ぢんまり見える181系の方が、正面だけをみれば面長で顔が大きいということになりまが、実際にはその下のスカートの部分の丈が長かったりスノープロウが付いたりして、やはり485系の方が全体的にボリューム感がありように見えます。

以上のような方法で、そのほかにクロ481系ボンネット形も、クハ181とサロ481を合体させて作ってみました。
ところで、切り刻んで余った車体や代車は、とりあえず合体してNゲージのガラクタ箱にあった余りシールの中から『高速軌道試験車』なるシールを見つけ、側面に貼付けて、さも有りそうな車輌に仕立ててヤードの片隅の放置車輌の一員にしてみました。
IMG_5860sss.jpgIMG_5874sss.jpgキットを一から作るよりも簡単な車輌改造で、自分だけのオリジナル車輌を作ってみてはいかがでしょうか。市販されている車種でもよく売切れているので、作ったほうが早い場合もありますし、何よりも愛着の沸き方が違います。

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ウェザリング第4弾、屋根上機器が醍醐味485系。

DSC06496ss.jpg以前キハ82、C62、D51のウェザリング(風化による汚れ)のお話をしましたが、今回の第4弾は蒸気機関車に並ぶウェザリングの醍醐味、交流や交直両用車輌の屋根です。取り上げたのは国鉄時代の485系で、今回もラッカーの『ドライブラシ』で作成しました。

※【ドライブラシ】=汚れに見合った色のラッカーを調合し、ラッカー溶剤で少し柔らかめにして筆に含ませてからタオルで拭き取り、筆先をドライな感じにさせて、プラ板などに試し塗りしてタッチを整えてから車体のプラスチックを溶かさないよう手早く汚す技法。

この485系の屋根の複雑なディテールも以前からの方法で、1本の筆を駆使して躊躇せずザックリと再現してみました。あまり細かいことにとらわれても、実際の150分の1の縮尺という人間のスケール感から見るとあまりにも小さな世界なので、ほぼ認識出来ないものになってしまいます。手にもって虫眼鏡で鑑賞するのであればそれでも良いのですが、多少オーバー目の方が編成にして走らせた時に実在感があります。なので、ドライブラシがお勧めの技法です。(スーパーリアリズムの絵画も、近くで見ると、油絵絵具の凸凹と筆の跡がざっくり残っています。それと同じでチマチマやるよりも大胆且つ感覚的に...。)

上の写真は2両とも485系のモハ484ですが、写真内上は田沢湖線の特急『たざわ』の焦げ茶色の『屋根布』仕様を再現するためにオリジナルの銀塗装の上に筆でラッカーを平塗りしたのもので、写真内下は『KATO』のオリジナルのままで、実車の485系の新製時の銀色の『塗り屋根』仕様のものです。実車ではどちらも汚れ具合にさほどの差はありませんが、それぞれのベースの色で表現を多少変えています。
ベースが焦が茶の場合は、彩度の高い明るめの色で汚れを目立たせ、ベースが銀色の場合は、元の銀色の美しさが失われないように、渋い色合いであっさり目に仕上げています。(下左の写真の手前にある急行形475系などのグレーの『塗り屋根』の場合も銀色と同様です。)

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順序としては車体を分解して屋根を外すか、分解が面倒であれば車体側面にマスキングテープを貼って汚れを防ぐかしてください。そして屋根上のパーツは外せるものは出来るだけ外してから屋根全体にベースの鉄さびの汚れや油汚れをドライブラシして、外したパーツの銅製の電線やそのカバーや碍子、パンタグラフなどを、通常の塗り方でそれぞれの適切な色を塗ってから、ドライブラシで軽く汚れを付けて、元の位置に設置して組み立てます。
ここで肝心なのは実在感です。実車はパーツ毎に汚れてゆく訳ではなく、走行時などに全体的に汚れてゆくので、組み立て後に全体を眺めて実車感に乏しければ、汚れに一体感を出すために、走行中の風の流れを描くようにザッと、ドライブラシで鉄錆色などで着色するといい感じになります。ドライブラシに自信が持ててきた人にはお勧めの効果です。

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ちなみに自分はセッカチで面倒くさがりやのため、掲載した写真は、全て分解もマスキングもせずに、ザックリと絵を描く気分でやってみたものです。ほんの少しの絵心と勇気があれば簡単なことです。
いずれにせよ失敗を恐れずにとにかく、やってみましょう!

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