1970年代末、日本のNゲージは黎明期をようやく脱して、積水金属(カトー)から次々と日本の鉄道車両の模型が発売され始めました。しかし実車がその用途に応じて同系列内の車種を増やして行くのには追いつけずに、まだまだ足りない車種も数多くあったのも事実です。
その顕著な例が、カトーから発売された20系寝台車両でした。初期のモデルは実車が登場した1958年(昭和33年)当初の編成の車種で構成されていて、緩急車(おもに先頭もしくは最後尾の車掌室のある車両)は、座席車両の『ナハフ20』と『カニ21』が組込まれており、その後の編成の主流となった寝台車両の『ナハネフ22』は製品化されていませんでした。レイアウト上に毎日のように身近に見ていた寝台急行『銀河』を走らせようと1編成分の車両を購入したのですが、最後尾に違和感のある『ナハフ20』があって、しかもピッカピカの屋根と足回りでは全く実車の趣きが感じられず、後日『ナハフ20』と『ナハネフ23』を1両ずつ購入して、両者を切り刻んで『ナハネフ22』を自作することにしました。
実車の写真を見ながらまずは、『ナハフ20』の乗降扉から車掌室までの部分と客室部分をレール切断用のノコギリで切断して、次に『ナハネフ23』の車掌室から乗降扉部分を切断して、残った寝台客室を最初に切断しておいた『ナハフ20』の丸みを帯びた先頭部分と合体しました。
とりあえず接着剤で固定して、切断面のバリを軽く紙ヤスリで整形して、つなぎ目を自然にするためにパテを塗って、乾いてからまた紙ヤスリで平らにし、削れてしまったブルーの塗装や白帯を、マスキングテープと筆を使い、指定色のラッカーで再塗装しました。
指定色のラッカーを使っても多少色ムラが出来てしまいますが、このあと全車両を『寝台急行・銀河』に仕立てるためにウェザリング(劣化処理)をしたので、ほとんど気にならない状態になりました。しかし早く走らせたくて作業を急いだ結果、接合部分に塗ったパテが完全に固まっていなかったようで、余った斜体で作り上げた切妻形状の『変形ナハフ20』の屋根部分に凹みが出来てしまいました。
全体のウェザリングは、他の『ウェザリング』の記事に記述してあるように、ザックリと筆でドライブラシを活用して行いました。Nゲージは割と小さいめなので詳細に汚れなどを再現しても、レイアウト上で見た場合に実車感に乏しいので、平筆などでザックリと汚した方が見栄えがします。
窓ガラス周りの『Hゴム』などは、0.2ミリほどの幅になりますが、実際に0.2ミリでライトグレーの帯を敷くとほとんど目立たないので、乗降ドアのガラス窓周りなどは、あえて『カトー』が計算し尽くして少し強調して成形してある太めの縁取り通りに細筆で塗った方がよりリアルです。
そして足回りの台車や床下機器などは、錆色ラッカーに艶消しラッカーを混ぜて平筆でザックリとドライブラシをし、屋根は車体から取り外し、製品色の銀色の上から平筆でグレーに塗って乾いてから、発電車の『カニ21』から排出されるディーゼルの排気ガスの煤(すす)の色、すなわち墨色(ダークグレー及び黒)で、編成上の『カニ21(ディーゼルの排気口)』に近い車両は濃いめに、離れている車輌ほど薄く汚れをドライブラシで付けました。
実際の編成では、時にはところどころにメンテナンス済みの予備車両と差替えて編成している時もあり、突然再塗装されている小綺麗な車両も混じっていたりするので、Nゲージの編成でも屋根の汚れ具合をまばらにすると、実在感が増します。
あとは、車体のあちこちにある『方向幕』を白色ラッカーで塗り、パソコンからネットで取り込んだヘッドマークの画像をプリントアウトして必要な部分だけをカットし接着剤で貼りました。また窓の内側のブラインドは寝台列車なだけに実車感を醸し出すための重要な要素です。基本的に就寝中の移動を目的とした列車なので運行時はほとんどの窓がブラインドを降ろしているので、ここを処理しない手はありません。
車体を分解して、一体整形の透明の窓ガラス部分をはずして、やや水色がかったラッカーで内側を塗ります。その際に全開のブラインドや、やや開けてあるブラインドを表現するのも実車感を出す上でとても大事です。車体と並べて窓のピッチを確認しながら丁寧に塗る事をお勧めします。
ということで、ザックリとした説明ですが20系の実車感を楽しんでみました。しかし現在はカトーから『ナハネフ22』や、ヘッドマーク(バックサイン)も販売されているようなので、改造する必要もないのですが、ウェザリングは参考になると思います。ぜひ皆さんも実車感にトライしてみてください!
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